シェリー酒というお酒の名前を聞いたことがある人も多いですよね。ですが、どんなお酒かご存知の方は少ないかもしれません。シェリー酒とはワインの一種で、スペインの限定された地域で造られる白ワインから製造されたお酒になります。
最近では、スペイン産シェリー酒がジワジワと注目されており、様々な場所でシェリー酒のイベントなどが行われています。日本食を始め、和洋中どの食事にもとても良く合うのが人気の理由です。また、食前酒でもシャンパンと並んでシェリー酒をメニューで見かけるようになってきましたよね。
そこで今回は、そんな人気上昇中のシェリー酒に使われるぶどう品種、シェリー酒の種類、おすすめマリアージュまで含めてお伝えします!
シェリー酒の秘密を知って
スペインワインを楽しもう!
フォーティファイドワイン(酒精強化ワイン)
シェリー酒はフォーティファイドワイン(酒精強化ワイン)と呼ばれ、ワイン発酵途中または発酵後に高アルコール度の蒸留酒を加えます。要は、アルコール度を強めたワインなのですね。
気温が高く温度管理が難しい栽培地域でぶどうが造られるので、腐敗・酸化を防ぎ保存性を高めるため、さらには味わいに個性を持たせるために、工夫が施されています。
通常ワインのアルコール度数はだいたい12~15%ですが、シェリー酒は15~23%程度になります。
シェリー酒の産地
シェリー酒はスペイン全土で造られている訳ではありません。スペイン南部にあるアンダルシア地方「ヘレス」とその周辺で造られたワインのみが、「シェリー」の名を使用することが許されています。
「シェリー」という名称は英語の名称で、スペインでは、「ヘレス(Jerez)」や「ヴィノ・デ・ヘレス(Vino de Jerez)」と呼ばれています。
シェリー酒に使われるぶどう品種
では、シェリー酒に使用が認められている3種類の品種を見てみましょう。
パロミノ【Palomino】
果実の粒が小さく、パロミノのワインは甘みと酸味が低めのニュートラルな存在。素晴らしい辛口シェリー酒が造れる代表品種です。シェリー酒を造る際、特有の熟成工程にパロミノ種はとても合っているため、産地ヘレスで栽培されるぶどう面積の約95%を占めています。ペドロ・ヒメネス【Pedro Ximenez】
房の大きさは中くらいで細長い円錐形をしていて、糖分が非常に多く日射量を多く必要とする品種です。極甘口のシェリー酒に使用されます。モステカル【Moscatel】
海の近くのチピオナ地域で良く育ち、アロマが豊かで糖分が高く個性的なシェリー酒となります。そのまま生食用やレーズン用としても栽培されてます。
シェリー酒の種類
フィノ【Fino】:辛口で口あたりは滑らか。色は淡い金色で香りが独特的。
マンサニーリャ【Manzanilla】:こちらも辛口でとても軽い口あたり、鮮やかな金色で後味がとても爽やか。
アモンティリャード【Amontillado】:柔らかさのある辛口でナッツのような香りが広がります。色は透き通る琥珀色。
オロロソ【Oloroso】:樽の香りが広がる辛口で、琥珀色から深いマホガニー色をしています。
上記に挙げたのは全て辛口です。その他に甘口タイプの「モスカテル」や「ペドロ・ヒメネス」等があり、スッキリとした辛口から黒蜜のような甘口まで様々なタイプがあります。
シェリー酒と相性ばっちりのマリアージュ
なんと言っても冷やした「フィノ」と魚のフライが合います!フライや揚げ物などのコクのある料理でも「フィノ」の辛口な後味がスッキリとさせてくれ、箸が進みますよ。
シェリー酒の美味しさの秘訣「ソレラシステム」
「ソレラシステム」とは、シェリー酒独特の熟成方法のことです。ちなみに「ソレラ」は床という意味。通常3段~5段の樽を積み上げているのですが、1番古い下の樽のシェリー酒から出荷します。
その時、樽の中身を全部出荷するのではなく、3分の1程度までの量を出荷します。そして減ってしまった部分に、下から2番目の樽のシェリー酒を注ぎ足します。
今度は2番目の樽の減ってしまった部分に、下から3番目の樽のシェリー酒を注ぎ足します。そして、3番目の樽の減ってしまった部分には、酒精強化した若いワインを注ぎ足します。
ということで、古いシェリー酒に新しいシェリー酒をブレンドさせながら熟成させているのです。この製法を用いることで、長い年月をかけて、出来・不出来にかかわらず、複数の樽から均一な品質で同じ味を保ったシェリー酒を生み出すことができるのです。
また、樽の中には4分の3程度のシェリー酒を入れ、表面が空気に接することで、フロールという特殊な酵母の膜が表面に張って熟成が進み、独特な味わいも生まれます。
いかがでしたか、今回はスペインのシェリー酒とその品種や種類、おすすめマリアージュをお届けしました。
シェリー酒は他のワインに比べてアルコールが強いですが、これにはとても良いことがあります。それは、栓を抜いてシェリー酒を味わって残ってしまっても、1~2週間は味が変わらないのです。普通のワインですと日が経つにつれて風味が変わってしまいますが、シェリー酒は変わらず楽しむことができるのですね。
また、シェリー酒の種類によっては、違った味わいがあり、爽やかな後味のタイプからとてもコクがあって美味しいシェリー酒までたくさんありますよ。
「今日はシェリー飲んでみよう」と思った時は、こちらの記事を参考に、フライ料理と合わせてお試しください。お気に入りのシェリー酒が見つかるかもしれませんね。
さあワインがあなたを待っていますよ!今日はどのワインで乾杯しましょうか。
まとめ
シェリー酒とは
・アルコール度を強めたワイン(酒精強化ワイン)
・産地は主にスペインの「ヘレス」周辺
・主なぶどう品種は辛口の「パロミノ」
・シェリー酒とフライ料理は相性ばっちり!
・美味しさの秘訣は「ソレラシステム」