パスカルの格言「人間は考える葦である」の言葉通り、人間が生き抜いているのは思考力を持っているから、だからこそ考える力を養うのは、生きていくうえで重要な課題といえますよね。新しい道具を作ったり、要領よく物事を進めたりするのには、考える力を養うのが必須。
仕事で、日常で、思考力を生かす機会はたくさんあります。個人の意思よりも上からの指示を守ることが優先されてきた日本社会。「いきなり考える力を鍛えようとしても、何をしていいか分からない」という方も多いでしょう。
仕事をしていれば、思考力を育てるためだけに特別に時間を割くのは難しい場合もありますよね。もし、日常的な趣味の中で、考える力を養うことができるとすれば、実践してみたいと思いませんか。今回はそんなあなたに、考える力を養う趣味をお伝えします。
語彙力を上げる「読書」
人間は、言葉で物事をとらえ、考えます。つまり、言葉を豊富に扱えない人は、認知力もさがりがちです。例えば、おいしいものを食べたとき、語彙が豊富な人は「クリーミーだ」「だしがきいている」「素材の味が生きている」など、何がどのようにおいしいのかを考え、特徴を細かにとらえて表現することができます。
一方、語彙がたりない人はすべて「やばい」。表面的で便利な言葉でしか物事をとらえられないため、何がどのようにおいしいのかを考えずに過ごしてしまいます。考える力を養うために、最も必要なものは、思考の母体である語彙力といっても過言ではありません。
語彙を豊富にしたいなら、やはりたくさんの言葉に触れることが近道。ジャンルを選ばず、様々な書籍を読めば、考える力を養うことができますよ。
工程を考える「料理」
考える力が育っていない人は、要領が悪く見えることがありますよね。例えば、1つの作業に待ち時間ができたとき、考える力のある人は隙間の時間に別の作業を終わらせることが可能です。一方で、考えずに行動する人はひたすら待っている場合もしばしば。
これは、「待ち時間がどのくらいかの予想」「どの作業にどのくらいの時間がかかるかの想定」「隙間の時間にやる作業の決定」ができるかどうかで生じる違いです。同じ仕事の量なのに、他の人よりあまりにも時間がかかる人は、何をどのような順番で行えばより効率的か考える練習が必要です。
そのために有効な手段が「料理」を趣味にすること。料理には、「お湯を沸かす時間」「煮る時間」「電子レンジやオーブンを使う時間」など、たくさんの隙間時間が生じるもの。さらに2品以上の料理を作るなら、同時進行で複数のタスクをこなし、最後はどれも適切な温度で完成させなくてはいけません。
なるべく早くおいしいごはんを作ろうとすれば、どの作業をどの順番で行うか想定しながら作業を進めるトレーニングになりますよ。
論理の基本「算数・数学」
数式も言語の一つの形。イコールで結ばれたもの同士が、「同じである」という関係性を見出すゲームです。算数・数学には、最小公倍数や因数分解など、共通点を見つけ出す過程が多く存在しています。
つまり、算数・数学の学習を行うことは、共通点を見つけるという思考を深めるトレーニングに最適なのです。いきなり高度な数学の問題にチャレンジするのは無理!という人もいますよね。
そんなあなたにおすすめなのは、小学校算数の文章問題。文章問題は、日常にある状況から、数式を作り解決をするのが特徴。算数・数学を日常生活にどのように生かせるかを学べます。小学校時代には気づけなかった視点で算数をとらえなおし、考える力を養うことが可能です。
戦略を練る「ボードゲーム」
スマホなどで、気軽にゲームができるようになった昨今。ポチポチと単調に操作をしていると、反射的に指を動かしているだけなので、物事の最終判断をする脳の「前頭葉」が働かなくなってしまいます。子どもに長時間のゲームが悪影響だと言われるのはこのため。
もちろん大人も、頭を使わないゲームばかりやっていると、脳の働きが鈍ってしまいます。しかし、ゲームの中でも、状況に応じて戦略を練る必要のある将棋や囲碁のような「ボードゲーム」は考える力を養うのに適しています。
ゲーム中は、相手がどのように行動するかをよんだり、自分の手がどのような結果を招くかを想定したりと、終始思考を巡らせて進行するので、シミュレーションのトレーニングに最適。上達すれば、勝てるようになっていくので、成果を実感しやすいのもうれしいポイントですね。
考えを表現する「日記」
なんとなくぼんやり過ごしていて、気づいたら一日が終わっている、そんな日はありませんか。何も考えずに毎日を過ごしている人は、脳の働きが鈍くなっていきます。実のところ、天気や周囲の人の様子、仕事やニュースなど、日常に「すべてが同じ日」はありません。
毎日が単調でつまらない、というあなたは、周囲にある日々の変化に気づいていないだけ。日常生活の中で考える力を養うなら、一日にあったことを振り返り、表現する習慣「日記」をつけるのがおすすめです。
日記をつけるようになると、毎日「何かは書かなくてはいけない」という意識が働き、周囲の物事に目を向けるようになります。人間観察をしたり、社会情勢を調べたりするうちに、物事の「原因」「結果」などの関連性を見つけられる場合もありますよ。
やはり考える力がないと、人からの意見やマニュアルがないと行動できない「指示待ち人間」になってしまいますよね。国際社会である現代は、自ら行動できる人材が高評価。これからは、個人が思考・判断・表現できる力を求められていくことでしょう。
自分を表に出すのが苦手な日本人だからこそ、考える力を養うのは急務であるといえます。今回は、考える力を養うために効果的な趣味を5つご紹介しました。活字にふれて思考の材料である語彙を増やし、論理的思考やシミュレーションを行える経験を重ね、考えを表現する。
お伝えした5つの趣味を通して、これだけの考える力を養うトレーニングが可能です。興味のもてる趣味があれば、取り入れなければもったいない!これから趣味で思考力を育て、あなたも現代にマッチした能力をみにつけてしまいましょう。
まとめ
考える力を養う趣味とは
・ 語彙力を上げる「読書」
・ 工程を考える「料理」
・ 論理の基本「算数・数学」
・ 戦略を練る「ボードゲーム」
・ 考えを表現する「日記」