5大シャトー:シャトー・オー・ブリオンの特徴


ボルドー5大シャトーと言うと有名なので、ぜひ一度、飲んでみたいと思っている方も多いですよね。5大シャトーとは、1855年にナポレオン3世の要請により制定された格付けで、トップクラスになったシャトーのことです。いずれも歴史ある素晴らしいワインを作るシャトーばかりです。

シャトー・オー・ブリオンは、5大シャトーの中で唯一メドック地区以外から選ばれたシャトーで、「フランスの救世主」と言われています。フランス国内はもちろん日本でもその柔らかくて滑らかな味わいは、とても親しまれています。

そこで今回は、第1級シャトーの中で最も小規模ですが、最新の技術を取り入れている「シャトー・オー・ブリオン」の歴史とワインの特徴をお伝えします。

5大シャトー:
シャトー・オー・ブリオンの特徴

 

村の位置



まずは、5大シャトーの1つであるシャトー・オー・ブリオンがフランスのどの位置にあるかを確認しましょう。先ほどもお伝えしましたが、シャトー・オー・ブリオンはメドック地区の中ではなく、ボルドー南西のペサックという場所にあり、グラーヴ地区に位置します

シャトーの畑面積は約48ヘクタール。栽培しているぶどう品種は、メルロー45%、カベルネ・ソーヴィニヨン44%、カベルネ・フラン10%とプティ・ヴェルド1%です。

オーク樽での初期熟成期間は、80%の新木材で18〜22ヶ月。ワインの平均生産量は年間で10,000〜12,000ケースとなっています。

 

歴史



5大シャトーの中では最古の歴史を誇っています。ぶどうはローマ時代から生えていたと言われており、他のシャトーでは歴史の始まりが曖昧なことが多いのですが、シャトー・オー・ブリオンでは珍しくハッキリとしています。

1525年にボルドー議会の職員だったジャン・ド・ポンタックが、リブルヌ市長の娘ジャンヌ・ド・ベロンと結婚した際、ジャンヌが「オー・ブリオン(HautーBrion)」と呼ばれる土地を持参しました。さらに、オー・ブリオンの邸宅を1533年に購入、1549年に現在のシャトーの建設が始まります。ポンタック家のアルノー3世がオーナーとなった1649年からワイン造りが始まりました。

大きく分けて4つのファミリーを中心に世紀をまたがって受け継がれてきました。アメリカの銀行家であるクラレンス・ディロン氏が1935年にシャトーを買取り、現在はルクセンブルク大公国のロベール皇太子殿下が、ディロン氏からシャトーを受け継いでいます。

 

ワイナリーについて



5大シャトーの中でもシャトー・オー・ブリオンでは、世界で初めて澱引きやウィヤージュ(補酒)といった技術を採用し、ワインにとって理想的な状態で長期熟成をさせることを可能にしました。そして、ボルドーで最も早く発酵工程にステンレスタンクを導入したシャトーでもあり、適切な温度管理が行えます

その上、自動化や省人化にも力を入れています。例えば、人の手でタンク内のワインをかき混ぜていたピジャージュ方式から、タンクの下部から最上部へパイプをつなぎ自動でワインを循環させるルモンタージュ方式へ変更しています。シャトー・オー・ブリオンは、醸造方法の技術革新にとても熱心なのです。

 

ワインの特徴



5大シャトーで最も香り高いと称されており、極上のアロマを有しています。他の4つの5大シャトーワインと比べると、メルローの比率が高く、渋みは少なめです。そのため、柔らかいという特徴があり、人々からは親しみやすいと愛されています。

シャトー・オー・ブリオンのワインは、土の香りの中に黒系果実の香りがし、葉巻やスパイス、スモーキーなニュアンスを感じます。心地よいタンニンの口当たりととても上品な酸が、エレガントさを一層引き立てます。

そして、シャトー・オー・ブリオンは早熟なものもありますが、30年の長期熟成にも耐えることができ、コクの豊かさや重みを凝縮し素晴らしい味わいをもたらします。他の5大シャトーのワインよりも飲み頃期間が幅広いという特徴があり、とても優れたワインなのです。

 

エチケット(ラベル)



5大シャトーのエチケットはそれぞれに特徴がありますが、シャトー・オー・ブリオンのシンボルはシャトーの画ですね。このシャトーは1549年に建設が始まり、今でもシャトーのシンボルとなっています。

 

セカンドワイン



「レ・クレランス・ド・オー・ブリオン(LE CLARENCE DE HAUT BRION)」は、グラン・ヴァンと同じ畑の若樹のぶどうを使って造られています。違いはぶどうの樹の樹齢のみです。

長期熟成でも楽しめますが、比較的若いヴィンテージからもシャトー・オー・ブリオンのエレガンスさを味わうことができる素晴らしいセカンドワインです。

ぶどう品種は、2011年ヴィンテージのもので、メルロー 72%、カベルネ・ソーヴィニヨン23% 、カベルネ・フラン5% 、プティ・ヴェルド1%となっており、メルローをより多くブレンドしています。

味わいは、ベリーやブラックチェリーなどの果実の溢れる香りで、とても濃いルビー色をしています。心地よいタンニンと柔らかい酸のキレが良く、アロマがいっぱいに広がり、素晴らしい余韻が続きます。

 

5大シャトーの1つであるシャトー・オー・ブリオンの特徴をお伝えしましたが、いかがでしたか。

シャトー・オー・ブリオンが「フランスの救世主」と呼ばれる由来は、ナポレオン戦争で敗れ国が崩壊の危機に追い込まれた時までさかのぼります。1814年、敗戦国の処遇を決める「ウィーン会議」で、連日連夜、豪華な料理とシャトー・オー・ブリオンのワインが各国の代表者に振る舞われました。

舌鼓を打った各国の代表は判断基準が緩み、フランスは敗戦したにも関わらず領土をほとんど失われることなく乗り切ったとも言われています。

ワイン造りの歴史が長く、また最新技術を取り入れて成長を続けるシャトー・オー・ブリオン。最良のワイン造りへのこだわりが代々受け継がれ、素晴らしい味を維持しているのですね。

さあ、ワインがあなたを待っていますよ。今日はどのワインで乾杯しましょうか。

まとめ

シャトー・オー・ブリオンの特徴
・ボルドー南西のグラーヴ地区にある
・理想的な状態で、長期熟成や温度管理ができる
・香り高く、渋み少なめ
・エチケットはシャトーの画
・セカンドワインも洗練された味わい


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