5大シャトー:シャトー・マルゴーを造り出す土壌とは


ボルドー5大シャトーは、日本はもちろん海外でもとても人気がありますよね。すでに飲んだことがあるという方も、まだ飲んだことはないけれど一度は飲んでみたいという方も多いことでしょう。

世界中に認知され、今もなお最上級の品質で造られている5大シャトーのワイン。その中でも「ボルドーの宝石」と讃えられいるのが、シャトー・マルゴーです。

シャトー・マルゴーはパリ万国博覧会が行われた1855年、赤ワインのブラインドテイストで61シャトー中、唯一20/20点を獲得しました。特に、良質とされるビンテージは入手が困難で、高値で取引がされています。

そこで今回は、5大シャトーの中から、世界中で有名な「シャトー・マルゴー」を造り出す土壌や歴史についてお伝えします。

 


 

5大シャトー:
シャトー・マルゴーを造り出す土壌とは

 

村の位置とぶどう栽培


まずは、フランス、ボルドー地域のどの位置にあるのかを確認しましょう。5大シャトーのシャトー・マルゴーは、ボルドーの北にあるメドック地区マルゴー村にあります

この地域はガロンヌ川の河口部エスチュアリーの左岸にあり、土壌がぶどう栽培に適しています。シャトーの敷地は約262ヘクタールで、その内の約100ヘクタールでぶどうの栽培をしています。この面積は、17世紀から変わっていません。

栽培しているぶどう品種は、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルド、そして白ワイン用にソーヴィニヨン・ブランです。

 


 

テロワール


「テロワール」とは、フランス語にしか存在しない言葉ですが、日本語で簡単に表すと、土壌、気候、場所などを含むワイン造りを取り巻く、全ての自然環境という意味になります。

5大シャトーであるシャトー・マルゴーは、そのテロワールと、人の手による真剣な取り組み、そして情熱溢れる惜しみない努力をワイン造りに注いでいます

河川礫層の恵まれた場所で、ぶどうの苗木選びから栽培条件を確立し、ワイン造りの技術を磨き続けた結果、5大シャトーに選ばれているのですね。

 

歴史


5大シャトーの中で「ワインの女王」と称されるシャトー・マルゴー。その歴史は、12世紀の「ラ・モット・ドゥ・マルゴー」と呼ばれていた農園から始まったと言われています。

1453年まではイギリスの支配下に置かれます。1570年代に入ると、1人の「ピエール・ド・レストナック」と言う貴族が、「メドック地方がワインの一大産地になる」とシャトー・マルゴーを所有しました。

ピエール・ド・レストナックは、1572年から1582年の間にシャトー・マルゴーの穀物畑を大幅に減らし、ぶどう畑を増やしました。これが現在の5大シャトーのシャトー・マルゴーの礎となります。

18世紀に入ると、醸造技術の進歩に伴い、長期熟成タイプのワインが誕生します。フランス革命など時代背景にも大きく左右されることになります。1801年、ド・ラ・コロニラ侯爵がシャトーを所有。1810年に、現在のエチケット(ラベル)にも使用されているギリシア風のシャトーの建物を完成させます

1855年のパリ万国博覧会では、赤ワインのブラインドテイストで61シャトー中、唯一20/20点と公式に評価を獲得。シャトー・マルゴーを含む5大シャトー、そしてボルドーワインは黄金時代を迎えました。

その後、1960年~70年にかけてシャトー・マルゴーのクオリティがとても下がってしまいました。追い打ちをかけるように、オイルショックとワイン市場の下落が重なり、シャトー・マルゴーは消滅してしまうのではないかとの危機を迎えます。

その危機に立ち向かったのが、アンドレ・メンツェロプロスでした。彼は事業で稼いだ大金を惜しげも無く注ぎ込み、ぶどう畑や醸造室、シャトー全体の再構築を行います。

ボルドー大学から醸造学者エミール・ペイノーという情熱的な監督も加わり立て直しますが、彼がシャトー・マルゴーと名声を取り戻すのを見ることは叶いませんでした。その意思をついだ娘のコリーヌ・メンツェロプロスが、1982年以降、ボルドーワインの世界的大ブームを作り出しました。

 

いかがでしたか。5大シャトーの1つ、シャトー・マルゴーの歴史をお伝えしました。

シャトー・マルゴーは、不作やオーナーチェンジ、世界情勢などの変化で幾度も危機を乗り越えながら、自然との調和をテーマに有機的な方法で世界最上級のワイン造りをしています。

チャールズ・チャップリンや文豪ヘミングウェイなど多くの著名人に愛されてきたことでも有名です。ヘミングウェイに至っては、自分の孫娘にマルゴー(英読みではミーゴ)と名付けたなど、シャトー・マルゴーのエピソードは尽きません。

シャトー・マルゴーのワインは長期熟成タイプが多く、少なくとも10年以上は寝かせてから味わうと良いとされています。中には30年の熟成に耐えるワインもあります。

さあ、ワインがあなたを待っていますよ。今日はどのワインで乾杯しましょうか。

まとめ

シャトー・マルゴーを造り出した土壌とは
・ボルドーの北部、メドック地区マルゴー村にある。
・恵まれたテロワールと、人の情熱溢れる惜しみない努力をワイン造りに注いでいる。
・不作やオーナーチェンジ、世界情勢の変化を乗り越え、常に進化している。

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