5大シャトー:シャトー・ラトゥールの特徴


ボルドー5大シャトーと聞くと、歴史のある素晴らしいワインを思い浮かべますよね。5大シャトーとは、1855年にパリ万国博覧会が行われたた格付けで、ナポレオン3世の要請で制定させたものです。

第1級の認定を受けた4つのシャトー(醸造所)と、1973年に昇格になったシャトー(シャトー・ムートン・ロートシルト)の5つの世界トップクラスのシャトーを5大シャトーと呼びます。

シャトー・ラトゥールは、ヴィンテージによって味がほとんど左右されることがないと言われているほど品質管理の秘訣がズバ抜けています。そこで今回は、栄誉ある第1級シャトーに格付けされた中でもNo.1の安定感と言われる「シャトー・ラトゥール」の歴史やワインの特徴をお伝えします。

 


 

5大シャトー:
シャトー・ラトゥールの特徴

 

村の位置


まずは、5大シャトーの1つであるシャトー・ラトゥールが、フランスボルドー地域のどの位置にあるかを確認しましょう。

ボルドーの北西にあるメドック地区ポイヤック村の最南端で、ジロンド川の河口岸から約300メートルの位置にあります。この地域は川の暖かい湿った空気により、畑の急激な温度変化を防げている、とても素晴らしい場所です。

シャトーの畑面積は約92ヘクタールで、そのうちの約47ヘクタールが「ランクロ」と呼ばれるぶどう栽培に最も適した土壌の区画で栽培をしています。栽培しているぶどう品種は、カベルネ・ソーヴィニヨンが76%、メルロー22%、カベルネ・フランとプティ・ヴェルド合わせて2%です。

 


 

歴史


5大シャトーの中でも、凝縮された濃厚感や豊富なタンニンから「男性的」と称されているシャトー・ラトゥール。その歴史は、1331年から始まり、その名前が記された最古の資料には「サン・モーベル塔」の建設許可証が残っています。

ワイン造りは18世紀の初頭に「ぶどうの王子」と、ルイ15世からあだ名をつけられたアレクサンドル・ド・セギュールが所有者になり、瞬く間に一大勢力を築きました。その頃ボルドーワインの輸出が盛んに行われ、ラトゥールの樽は1767年にはなんと20倍の価格で取り引きが行われていました。

5大シャトーの1つであるシャトー・ラトゥールのグラン・ヴァンは、パリ万博のあった1855年以前からすでに高い名声を誇っていたのが分かりますね。フランス革命などが起こりますが、奇跡的にセギュール家の一族で所有します

しかし、時代の流れの中、一時イギリス資本の金融グループがオーナーとなりましたが、1993年に現オーナーであるフランソワ・ピノーが買収しフレデリック・アンジュラを社長に任命し、様々な改革を実施し常に最高品質を求めています。

 

ワイナリーについて


5大シャトーの中でもシャトー・ラトゥールでは、2010年に完全ビオディナミ(自然な環境で土壌とぶどうの樹を育てる)へ移行しています。

畑の区画で管理はもちろん、ぶどうの樹1本1本にプラスチックのテープを巻き、若い樹等を区別し手摘みでの際に混ざらない工夫がされています。そして、最新のコンピュータで温度の管理がされています

外気の影響を受けやすいステンレスタンクの温度を一定に保ち、発酵が安定的に行われます。樽の貯蔵室の温度管理もコンピュータで行うことや非常に大きなブレンドタンクを所有し、ワインの味にバラツキがなく均一に保つ工程など品質の向上にとても力を入れています。

これがNo.1の安定感と称される最上級の品質管理なのですね。

 

ワインの特徴


5大シャトーで最も晩熟と称され、ヴィンテージから20年〜30年経たないとその素晴らしい真価は味わえないとさえ言われています。しかも秀逸なヴィンテージものは、50年以上の長期熟成ができるのです。

気品漂う黒果実系の香り、凝縮された鮮やかで深みのある色、力強く口の中に広がるタンニンと果実味豊かな香り、爽やかな酸とミネラルのバランスが飲んだ人を魅了します。

グラン・ヴァン・ド・シャトー・ラトゥールは、平均樹齢約60年の古株から取れるぶどうのみを使用して造られています。年代ごとにブレンドされるぶどう品種の割合が異なりますが、カベルネ・ソーヴィニヨン90%以上となっており、その美しさを味わうことができるまでに10年以上かかるなど、とにかく時間が必要になります。

 

エチケット(ラベル)


5大シャトーのエチケットはそれぞれ特徴がありますが、シャトー・ラトゥールのシンボルはなんといっても「塔」ですね。この塔は14世紀中頃に要塞として建てられた塔で、現在は撤去されてありません。その塔の石を材料の一部として使用した17世紀に新しく建てられた鳩小屋があり、今でもシャトーのシンボルとなっています。

 

セカンドワイン


「LES FORTS DE LATOUR レ・フォール・ド・ラトゥール」は、1966年に生み出されてから絶えず品質向上を続けています。グラン・ヴァンにセレクトされるブレンド時のテイスティングで品質が十分でないと判断された場合は、このレ・フォール・ド・ラトゥールに使用されます。

ぶどう品種は、カベルネ・ソーヴィニヨン 70〜75%、メルロー 25〜30%となっており、メルローをより多くブレンドしています。

味わいは、ベリーやカシスなどの果実の溢れる香りで、とても色鮮やか。力強いタンニンのキレが心地良く、アロマがいっぱいに広がり素晴らしい余韻が続きます。

 

5大シャトーの1つであるシャトー・ラトゥールの特徴をお伝えしましたが、いかがでしたか。

ビオディナミを導入した自然を大切にするぶどう栽培と、最新のコンピュータでの温度管理などを駆使し、最高品質のワインうぃ保っています。その代々受け継がれる伝統とノウハウが世界最上級と呼ばれるワインを造り出すことが分かりましたね。

長期熟成タイプなので、少なくとも15年以上は寝かせてから味わうと良いとされています。何かの記念日にプレゼントとして贈り、20年後、30年後に味わってもらうと、ワインの歴史と人生が錯誤してとても素晴らしい時間を過ごせて喜ばれるかもしれませんね。

さあ、ワインがあなたを待っていますよ。今日はどのワインで乾杯しましょうか。

まとめ

シャトー・ラトゥールの特徴
・ボルドーの北西にあるメドック地区ポイヤック村の最南端
・世界の情勢が変わる中、オーナーチェンジがあまり行われない
・ワイン造りの伝統や自然を大切にしながら、最新テクノロジーも導入
・飲む者を魅了する世界最上級のタンニン
・エチケット(ラベル)のシンボルは塔
・人気のセカンドワインは、セカンドと呼ぶのが惜しまれるほどの味わい


連記事
タイトルとURLをコピーしました