公正証書遺言を”専門家に依頼して”作成する流れ

公正証書遺言を”専門家に依頼して”作成する流れ
初めて公正証書遺言を作成する人にとって、どのような流れで遺言書が作成されるのか知っておくと安心なものです。流れやイメージが分からないと妙に不安になってしまうことってありますから。

そこで今回は、遺言書作成を行っている専門家を間に入れて、最終的に公証役場で公正証書遺言を作成するケースをお伝えしていきます。

公正証書遺言を”専門家に依頼して”作成する流れ

 

◆専門家に遺言作成を依頼して作成する場合

①専門家を探して依頼する

遺言書の作成を行っている専門家に公正証書遺言の作成を依頼します。色々な専門家がいますが、肩書だけで判断をせず、遺言書作成の実績がありそうかどうかで判断すべきです(そこが難しいところでもありますが)。

遺言に関するセミナーをしていたり、本の出版やコラムの投稿、ホームページでの情報発信など、そのようなところから推察することもひとつの方法です。

 

②専門家と初回打ち合わせを行う

専門家に、家族構成や財産状況、遺言内容などを伝えます。専門家から質問してくれるので、答えていけば大丈夫です。

ただ、初めから遺言書作成の依頼をするつもりでアポをとって会いに行くのなら、事前に持参してほしい必要書類を言われるので話がスムーズなのですが、そうではない場合は、再度必要書類を持参しての打ち合わせになります。

専門家は、財産状況が整理されていない状態では話を先に進めることができないため、仕方がないのです。

 

③相続人や不動産の情報を取得する

本人が申告した相続関係について確認をするために、遺言者や相続人の戸籍謄本、住民票などを取得します。遺言者本人の戸籍謄本のみならず、相続人の戸籍謄本や住民票も必要です。

また、不動産の全部事項証明書(不動産の登記簿謄本)等も必要なので、それらの書類も取得します。これらの書類をもとに公正証書遺言の原案を作成していくため、必須の書類なのです。

なお、本人が取得するのが大変な場合、専門家が取得してくれます。

 

④場合によっては再度打合せをする

遺言内容を伝えると、それに対する提案や対策を専門家が検討してくれます。

遺言書を作成するからには、相続人が争わないような配慮をしたり、遺言者自身が気付いていない問題点や対策を考え、さまざまな角度からとらえていかなければなりません。そしてその都度、遺言者が判断していき、遺言内容を決めていきます。

なお、②の初回打ち合わせで遺言内を伝えて提案や対策を行っている場合は、ここの④がないケースもあります。

 

⑤専門家が遺言の原案を作成する

専門家が謄本などを見ながら、漢字、生年月日、住所等正式なもので遺言書の原案を作成します。そして、作成したその原案を遺言者が確認します。

遺言内容と遺言案に相違がない場合は、次のステップに進み、変更等したい場合には、原案の修正をしてもらいます。

 

 

 

⑥公証人が遺言書を作成、本人確認

原案がOKになると、原案や謄本類一式を専門家が公証役場に持ち込みをします。そして、公証人に遺言書の作成をお願いします。

公証人が遺言書を作成したら、専門家宛てにFAXをしてくれます。このとき、公証役場に支払う手数料のお知らせもあります。

専門家が内容を確認後、遺言者本人に確認をしてもらい、その内容でOKなら、公証役場へ行く日時を決め、専門家が公証役場に予約をします。このとき、遺言書作成で立ち会う証人は専門家が手配しますので、気にする必要はありません。

なお、証人への報酬は、専門家へ依頼した遺言書作成料に含まれている場合と、別途必要な場合があります。

 

⑦公証役場で遺言、署名・押印

本人と証人で待ち合わせをして、予約の日時に公証役場へ行きます。時間になったら呼ばれるため、本人と証人は公証人がいる場所(部屋)に行きます。このとき、本人の付添人は別室で待機してもらいます。

公証人から実印を求められ、本人確認として住所、氏名、生年月日を教えてほしいと言われます。

遺言者と公証人は初めて対面するため、本人確認以外にもちょとしたたわいのない質問をされることがあります。特に年齢が高い場合、判断能力の有無を見るために色々な質問をされがちです。

そして、どんな遺言にしたいのかを聞かれるので、それを伝えます。

事前に作成してある遺言書と口頭で伝えた内容が同じなら、作成してある遺言書の読み上げをします。本人の目の前に1通、証人の前に1通が置かれるので、一緒に目を通します。

 

内容に間違いがなければ、本人と証人が署名・押印していきます。署名・押印するのは原本のみに行ないます。この原本は、公証役場で保管されるものです。

遺言者に手渡されるのは、正本、謄本と書かれている遺言書で、こちらには本人や証人が署名・押印したのと同様のものとして公印が押されます。

 

正本も謄本もどちらも効力は同じですが、正本は遺言者本人が保管、謄本は遺言執行者が保管するとよいと公証人から伝えられ、金融機関の貸金庫に保管するのはやめるよう注意も促されます。貸金庫を開けるために、相続人全員の署名等が必要になるからです。

遺言書を受け取ったら、公証役場へ手数料を支払います。なお、専門家への報酬は、専門家との取り決めに基づいて支払います。

これで、遺言書作成は終了です。

 

◆流れや注意点などのまとめ

箇条書きでまとめてみました。

  • 遺言書作成を行っている専門家へ依頼すると費用はかかるが、内容の対策や提案をしてもらえる
  • 謄本等の必要書類を準備してもらえる
  • 証人を探さずとも、専門家が証人の手配をしてくれる
  • 証人への報酬は、専門家によって作成料に含まれている場合と別途の場合がある
  • 遺言書の作成当日には、事前に知らされている手数料を支払う

専門家を介入させるということは、相続人への配慮や対策も盛り込んで作成するということになります。もちろん、その専門家によって考え方や対策の仕方はさまざまですから、依頼した専門家によって違ってきます。

しかし、「何のために遺言書を作成するのか」と考えた時、「家族が困らないように・もめないように」と思うなら、そのような遺言書を残さなければなりません。それが自分独りでは難しいと思うなら、専門家への依頼は必要なことかもしれませんね。

 


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