子どもにもっと勉強してほしい、立派な大人になってほしい、だからこそ大切に育てたいと誰もがそう思うもの。
でも、その強い気持ちが裏目に出て、いつの間にか子どものやる気を無くすような育て方をしてしまう人は多いものです。
間違った育て方をすると、無気力な人や、消極的な人、人のことを考えないエゴの塊の人、指示待ち人間、優柔不断な人、失敗を恐れて何もできない人などになってしまいますよ。
今回は、そうなってしまう間違った育て方と、そうならないためにはどう育てるべきかについてお伝えします。
もしかすると、どれか1つか2つは、間違った育て方をしているかもしれませんよね。
子どものやる気を出させ、自主性や積極性を伸ばす育て方をさっそく確認してみましょう。
子どものやる気を引き出すために注意したい7つのこと
§ 自ら取り組む力を伸ばすために
① 親ができない努力を子どもに要求してはいけない
➡ 子どもの見本となるように親が努力すると上手くいく
純粋無垢で生まれてくる子どもは、自分の周りの人、特に両親の影響を受けながら成長していきます。
親の立ち振る舞いやしぐさ、言葉が似るため、子どもは親の鏡だともよく言われますよね。
そのため、いくら親が子どもに向かって「勉強しなさい!」と呪文のように唱えていても、言っている本人がテレビを見ていたり、一日中横になってダラダラと過ごしていたのであれば、言っていることとやっていることが一致しないので、子どものやる気が起きないことは、自然の成り行きなのです。
一方、親が本を読んでいたり、楽しそうに仕事をしている姿を子どもに見せている家庭では、子どもは自ら勉強の大切さを学んでいるようですよ。
もしあなたが、自分の子どものやる気を引き出したいなら、自分が人生の目標に対してどれくらいの情熱と粘り強さを持って取り組んでいるかを考え、子どもが自分を手本としたくなるような育て方を心がけると、上手くいくでしょう。
② 強制や放置をしてはいけない
➡ いくつかの選択肢を与えて放任すると上手くいく
「こんな子になってほしい」と自分の夢を勝手に子どもに託し、子どもの意思とは関係なく習い事に通わせても、子どものやる気は育まれず、子どもは主体的に取り組もうとはしません。
逆に、「全て子どもの判断に任せる」というように、何のアドバイスもなく放置してしまうと、知識や経験のない子どもはどうしたら良いのかわからず、優柔不断になったり、失敗を恐れたりするようになってしまいます。
子どものやる気を育てて自主性を引き伸ばすためには、子どもに選択肢を与え、最終的な選択は子どもに任せるという「放任」をすることが大切です。
そして、子どもが困っている時には、親の知識や経験を活かし、方向性を示してあげると、より自主的な力が育つことでしょう。
§ 積極性を伸ばすために
③ 協調性ばかりを重視してはいけない
➡ 子どもに自分の意見や感想を言わせると上手くいく
周りの意見に賛成し、皆と仲良くするというような協調性ばかり教えると、周りに振り回されて自分を見失ってしまう人になってしまいます。
「皆が言っているから自分もそちらに賛成する」という考えを持つ前に、「皆が間違っていることもある」ということを子どもに教えたいものですよね。
他人と違うことを恐れない勇気を持つことはとても大事。テレビや新聞などのニュースに対して「自分はどう思うのか」を考えさせると、子どものやる気は維持され、周りに流される主体性のない子どもに育ってしまうことを回避できるでしょう。
④ 人に迷惑をかけるなと言ってはいけない
➡ 人の役に立つ選択をしろと言うと上手くいく
「人に迷惑をかけるな」、「人の気持ちを考えろ」と耳にタコができるくらい毎日言い聞かせていると、子どものやる気は削がれていって萎縮してしまい、消極的な子どもに育ってしまいますよ。
それよりも「どうすれば人の役に立つのか」を考えさせることが大切。多くの人たちから尊敬や信頼を集めている賢人・有名人でさえ、たくさんの犠牲の上にその偉業があるのです。
迷惑をかけることを心配して何もしないより、迷惑をかける覚悟を持って動くべきときもあるため、迷惑を迷惑と感じさせないくらい人を引き付けるほどの、人の役に立つビジョンを持たせることが、子どものやる気を引き出すうえで必要不可欠です。
⑤ 子どもを他人と比較してはいけない
➡ 個性に応じて育てると上手くいく
兄弟や友達と比較して親からケナされた経験を持つ子どもは、大人になってもずっと心に残ることが少なくありません。
子どもは他人と比較されるだけで親に不信感を抱くもの。中には、大きく傷つき、自暴自棄になってやる気を失ってしまう子どももいるのです。
とはいえ、どうやって個性を見出すことができるのでしょうか。
例えば五感に注目すると良いです。視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚のうち、私たちは人それぞれ、発達している五感が異なるのです。
人や物の特徴を見分けることが得意な視覚が発達していたり、声のトーンで調子を感じ取ることができる、相手の匂いで良し悪しを判断できる、見なくても触っただけで対象物が何かを判断できる、年代物の飲み物を識別できるなど、五感のうち誰しもがどれか一つ以上は特化しています。
そしてそれは、幼い子どもの時期に発達するため、どの五感が優れているかを観察し、例えば音で物を判断しているようであれば、おもちゃのピアノを与えてみるなど、その子の特徴に合わせて育てると、感性豊かな人に育ちますよ。
人にはそれぞれ個性があり、その個性がその人らしさを示すため、他人と比較することはせずに個性に応じて育てると、子どものやる気を目覚めさせて積極性を伸ばすことができるでしょう。
§ やり抜く力を伸ばすために
⑥ 感情的になってはいけない
➡ 失敗した原因を考えさせて気づかせると上手くいく
子どもの失敗に感情的になって怒ると、子どもは萎縮してしまって失敗を隠すことに奔走したり、大人への不信感を抱いたりします。
子どものやる気に火をつけ、失敗を乗り越える強さを身に付けさせるためにも、子どもには、失敗を素直に認めて原因を自分で考えることの大切さを教えましょう。
全てにおいて優しく接するということではなく、時には厳しくるなどのメリハリをつけることは大事ですが、子どものやる気をなくすような叱り方は良くありません。
怒鳴りたい気持ちを我慢し、子どもが失敗から学んで成長することを願って、失敗を乗り越えるために助言すれば、子どもは思うようにいかないことに対する対処法を学んでいくのですよ。
⑦ すぐに答えを教えてはいけない
➡ 子どもが自分で答えを出せるようなヒントを与えると上手くいく
大人に対しては、質問を質問で返されると信用度が落ちたり、頼りないと思ってしまうこともありますが、子どもが質問をしてきた場合、すぐに答えを言わずに「なぜでしょうか?」と質問で返すと、子どもの思考力を伸ばすことができます。
もし、子どもの質問に対してすぐに答えを言ってしまうと、自分で考えたり調べたりする癖がつかなくなり、常に人を頼るような自立できない人になってしまいますよ。
子どもには、色々な問いかけをして疑問を持たせ、不思議に思うようなヒントを与えて、解決する楽しみや喜びを体験させることで、驚くほど想像力に富み、独創的で個性のある優秀な人に育つことでしょう。
ヒントは出しても決して答えは教えないことで、子どもに自分で考える楽しさを感じさせ、子どものやる気を目覚めさせるのです。
■まとめ
いかがでしたか。
子どものことを大切に思えば思うほど、「あれやれ、これやれ」とついつい口酸っぱく言ってしまったり、他人と比較してしまったり、感情的に叱ってしまったりするものですが、実はそれは逆効果で、子どものやる気を削ぐような結果になってしまうのです。
子どものやる気を出させて自主性や積極性を伸ばす育て方を、ぜひとも身に付けたいものですよね。
今回お伝えした内容を、下記にまとめましたのでもう一度ご覧いただき、ぜひ活用してください。
[子どものやる気をなくす育て方]
☑ 親は努力せずに口だけで、「あれやれ、これやれ」と指図する
☑ 子どもの意思とは無関係に、親の夢を押し付ける
☑ 何もせずとも勝手に育つだろうと思って、子どもを放置する
☑ 人に迷惑をかけるなと子どもに言い、協調性や世間体ばかりを重視する
☑ 自分の子どもを他人と比較する
☑ 自分の感情の赴くままに叱る
☑ 子どもからの質問に対してすぐに答えを教える
[子どものやる気を引き出す育て方]
☑ 親が自ら勉強している姿を子どもに見せる
☑ 子どもに選択肢を与えたり方向性を示したりして放任する
☑ 人の役に立つにはどうしたら良いかと子どもに問う
☑ 子どもの個性を引き伸ばすことを重視する
☑ 子どもの失敗に対し、冷静になって原因や対処法を考えさせる
☑ 子どもからの質問に対してヒントを与え、自分で考えさせる
◆参考文献
・『一流の育て方』 2016.2 ムーギー・キム、ミセス・パンプキン ダイヤモンド社
・『やり抜く力』 2016.9 アンジェラ・ダックワース ダイヤモンド社
・『究極の育て方』 2017.3 小成富貴子 KKベストセラーズ