5大シャトー:シャトー・ムートン・ロートシルトの特徴


5大シャトーと聞くと、素晴らしい歴史のあるボルドーワインを思い浮かべますよね。

5大シャトーとは、1855年にナポレオン3世の要請でパリ万国博覧会が行われ制定された格付けで、第一級の認定を受けた4つのシャトーと、1973年の格付けで第二級から一級へと昇格したシャトー・ムートン・ロートシルトの5つを5大シャトーと呼びます。

1855年当時、シャトー・ムートン・ロートシルトはフランス人がオーナーではないからという理由で、2級に落とされてしまったとされています。それでも決して諦めず、4世代に渡る地道な努力を積み重ねた結果、なんと最初の格付けから118年後に1級へ異例の昇格を実現させました。

今回は、そんな「シャトー・ムートン・ロートシルト」の歴史やワインの特徴をお伝えします。

村の位置


まずは、5大シャトーの1つであるシャトー・ムートン・ロートシルトがフランスのどの位置にあるのか確認しましょう。ボルドーの北西にあるメドック地区ポイヤック村にあります。

シャトーの畑面積は約90ヘクタール、標高が27mで穏やかな傾斜のあるぶどう畑です。栽培しているぶどう品種は、カベルネ・ソーヴィニヨンが80%、メルロー16%、カベルネ・フラン3%とプティ・ヴェルド1%です。

1年目の熟成庫で6ヶ月育成をし、2年目の熟成庫にオーク樽を降ろして12ヶ月、合わせて18〜22ヶ月の熟成期間があります。ワインの平均生産量は年間で25,000〜30,000ケースとなっています。

 

歴史


1853年にナタニエル・ド・ロッチルドにより購入された時に、シャトー・ムートン・ロートシルトに名前が変更されました。この時ムートンは1855年の格付けで1級を取ると予想されていましたが、2級の格付けになってしまいました。

当時のオーナーであったバロン・フィリップ男爵は、「1級にはなれないが2級には甘んじれぬ、ムートンはムートンなり」と言って、1級になるため4世代に渡り地道な努力を積み重ねました。そして100年以上変更されることのなかった最初のメドック格付けから118年後の1973年に1級へ異例の昇格を実現させ5大シャトーの1つになりました

その時のオーナー、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド男爵が「われ1級なりぬ、かつて2級なりき、されどムートンは不変なり」と歴代のオーナー達へのねぎらいと誇りのある言葉を残しています。

 

ワイナリーについて


5大シャトーの中でもグラン・シェと呼ばれる一際広い貯蔵庫があり、全長100メートル、幅25メートルの建物で、オーク樽1000個を縦に積まずに1段で並べることができます。

シャトー・ムートン・ロートシルトでは、ぶどう栽培から瓶詰めまでの各工程をそれぞれのスペシャリストが担当し管理しています。ぶどうの収穫は潰れないように手作業で行ったり、伝統的なノウハウや最新式の設備を導入したりと独自のワイン造りをしています。

最近ではステンレスタンクが増えている中で、オークの木樽で発酵させるムートン式の伝統を大切にしています。つまり、新旧の融合をとても芸術的にしているシャトーなのです。

 

ワインの特徴


5大シャトーで最も豪勢で芸術的だと称されています。ワインはダイナミックで濃厚さの中にキメが細かくエレガントな酸味があり、芳醇でリッチな味わいが人々から愛されています。

シャトー・ムートン・ロートシルトは長期熟成型のワインで、飲み頃になるまで少なくても10年以上かかると言われています。シルクのようなきめ細かさと、エレガントなすみれの香りを秘めた芳香さ、酸味とコクのバランスの良さは理想の赤ワインと言われています。

 

エチケット(ラベル)


5大シャトーのエチケットはそれぞれに特徴がありますが、シャトー・ムートン・ロートシルトのシンボルはなんと言っても毎年その時代の著名画家に描かせているアートラベルですね。

そのエチケット(ラベル)は、世相を反映させた貴重な歴史でもあり、ダリ1958年、ピカソ1973年等、コレクターにとても人気です。

 

セカンドワイン


Le Petit Mouton de Mouton Rothschild ル・プティ・ムートン・ド・ムートン・ロートシルトは、1994年から出荷されはじめたシャトー・ムートン・ロートシルトのセカンドワインです。

ファーストラベルと同じ区画の比較的若い樹木から採れたぶどうで造られています。ヴィンテージによってはファーストラベルよりも入手しづらいと言われており、とても人気のあるワインです。

5大シャトーのひとつであるシャトー・ムートン・ロートシルトのエレガンスさを味わうことができる素晴らしいセカンドワインとなっています。ぶどう品種は、2014年ヴィンテージでカベルネ・ソーヴィニヨン93%、メルロー7%となっており、カベルネ・ソーヴィニヨンをより多くブレンドしています。

味わいは、熟したベリーやブラックチェリーなどの果実の溢れる香りとココアやバニラのような風味で、とても濃いルビー色。なめらかなタンニンと柔らかい酸のキレが良くアロマがいっぱいに広がり素晴らしい余韻が続きます。

 
今回は、5大シャトーの1つであるシャトー・ムートン・ロートシルトの特徴をお伝えしました。アートなラベルがとても人気があり、世界中に多くのコレクターがいます。

1945年以降、毎年著名なアーティストにラベルの絵を依頼しており、なんとその謝礼がシャトー・ムートン・ロートシルトのワインで支払われているそうです。1922年からこのラベルの方法を考案し実行したフィリップ・ド・ロートシルト男爵は、独創的なアイデアでシャトーの改革を続けたカリスマ的人物。

今では当たり前となっているシャトーでのワインの瓶詰めをすることも、彼が最初に行ったことなのです。ぶどうを手積みで収穫し、伝統的な方法で造られるそのワインは、様々な工夫があって今に受け継がれているのです。

さあ、ワインがあなたを待っていますよ。今日はどのワインで乾杯しましょうか。

まとめ

シャトー・ムートン・ロートシルトの特徴
・シャトーの位置は、ボルドー北西のメドック地区ポイヤック村
・1973年にメドック格付け2級から1級へ異例の昇格を実現
・オークの木樽で発酵させるムートン式の伝統を大切にしている
・飲む者を魅了してやまない世界最上級の味わい
・エチケット(ラベル)は毎年その時代の著名画家に描かせているアートラベル
・ル・プティ・ムートン・ド・ムートン・ロートシルトは人気のセカンドワイン

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