ボルドー5大シャトーと聞くと、歴史のある素晴らしいワインを思い浮かべますよね。5大シャトーとは、「シャトー・ラフィット・ロートシルト」「シャトー・マルゴー」「シャトー・ラトゥール」「シャトー・オー・ブリオン」「シャトー・ムートン・ロートシルト」を指します。
1855年にパリ万国博覧会が行われた際、ナポレオン3世の要請によってワインの格付けが制定されました。その時、第一級の認定を受けた4つのシャトー(醸造所)と、1973年に昇格になったシャトー(シャトー・ムートン・ロートシルト)の5大シャトーが世界トップクラスなのですね。
今回は、栄誉ある第1級シャトーに格付けされている5大シャトーの中でも、No.1と言われている「シャトー・ラフィット・ロートシルト」の歴史やワインの特徴についてお伝えします。
5大シャトー:
シャトー・ラフィット・ロートシルトの特徴
シャトーの位置
まず、「シャトー・ラフィット・ロートシルト」がフランス、ボルドー地域のどの位置にあるかと言えば、ボルドーの北西部にあたる、メドック地区ポイヤック村の北端にあります。
シャトーの敷地は約123ヘクタールで、そのうちの約100ヘクタールでぶどうの栽培をしています。栽培しているぶどう品種は、カベルネ・ソーヴィニヨンが70%、メルロー25%、カベルネ・フラン3%、プティ・ヴェルド2%です。
歴史
5大シャトーの中で一級筆頭と称されている「シャトー・ラフィット・ロートシルト」。その歴史は、1234年まで遡ります。ポイヤック北部にあるヴェルトゥイユ修道院で、ゴンボード・ド・ラフィットが院長をしていました。そこからラフィットと言う名前が登場し、14世紀になると領地名としてもラフィットが使われるようになります。
古くからその地にはぶどう畑が存在しており、17世紀セギュール家によってぶどう畑が整備され、銘醸ワインの造り手として評価が高まっていきました。ラフィットの管理者であったセギュール家から様々なオーナーに変わりますが、ワインを愛する人々が管理を行い、1855年のパリ万国博覧会で大きな波乱も異議もなく、5大シャトーの中でも「一級の中の一級」と公式に評価を獲得しました。
その後、1868年にジェームス・ド・ロートシルト男爵がシャトーを購入します。19世紀末から20世紀前半にかけて、ぶどう畑はフィロキセラ等の被害にあいます。また、第二次世界大戦時は、メドック地方がドイツの占領下に置かれ、ロートシルト家の所有地が没収されたこともあります。
そんな激動の時代を経て、ロートシルト家が再び1945年に所有権を奪取しました。エリー男爵の下でシャトー再生への道が開かれ、ロートシルト家が5世代に渡り伝統とノウハウを継承しているのです。
長い間、尽力した結果、2000年から2010年にかけては最上級ヴィンテージが続々と誕生しています。
ワイナリーについて
「シャトー・ラフィット・ロートシルト」では、樽を自社で製作しています。5大シャトーの中には他にも自社製の樽を使っている大シャトーはありますが、使用している樽のすべてを自社で作っているのはこちらだけです。
5人の職人が敷地内の樽工房で製造するという程のこだわりようです。樽の年間使用量は2000個になり、その樽を全てのワイン造りに使うということが味の決め手となっています。
ワインの特徴
5大シャトーの中では、最も繊細でエレガントとされており、「王のワイン」と呼ばれています。気品漂う優雅な香り、鮮やかさの中に深みのある色、きめ細やかで口の中に広がる樽の香りが、飲んだ人を魅了するのです。
年代ごとにブレンドされるぶどう品種の割合は異なりますが、概ねカベルネ・ソーヴィニヨン80〜95%、メルロー5〜20%、カベルネ・フランおよびプティ・ヴェルド0〜5%となっています。
例外として、ワイン愛好家の中で話題になるのが、1994年のカベルネ・ソーヴィニヨン99%、プティ・ヴェルド1%のヴィンテージと、1961年のカベルネ・ソーヴィニヨン100%です。
また、オーク樽での育成期間は、新樽で18%〜20ヵ月です。
エチケット(ラベル)
5大シャトーのエチケットはシャトーごとにそれぞれ特徴があります。「シャトー・ラフィット・ロートシルト」のこだわりは、100年間もエチケットのデザインを変えていないことです。
セカンドワイン
セカンドワインの「CARRUADES de LAFITE(カリュアド)」はフランス語で「台地」を意味しており、ぶどうが栽培されている区画名「Plateau des Carruades(カリュアドの台地)」に由来しています。
ぶどう品種は、カベルネ・ソーヴィニヨン50〜70%、メルロー30〜50%、カベルネ・フランおよびプティ・ヴェルド0〜5%をブレンドしており、メルローをより多く使用しています。
ベリーやカシスなど果実の溢れる香りがあり、色鮮やかです。また、きめ細かく繊細な口当たりで、柔らかいタンニンが心地よく、ラフィットに比べると寝かせなくても早くから楽しむことができますよ。
今回は5大シャトーの中から、「シャトー・ラフィット・ロートシルト」の特徴をお伝えしましたが、いかがでしたか。世界の情勢や害虫被害、オーナーチェンジが行われる長い歴史を乗り越えて、代々受け継がれる伝統とノウハウが、世界最上級と呼ばれるワインを造り出しているのですね。
長期熟成タイプなので少なくても10年以上は寝かせてから味わうと良いとされています。ヴィンテージが若くても手に入りづらく、とても希少なワインですが、何かの記念日に購入し10年後、20年後に味わうとワインの歴史と自分たちの歴史が錯誤し、とても素晴らしい時間が過ごせるでしょう。
さあ、ワインがあなたを待っていますよ。今日はどのワインで乾杯しましょうか。
まとめ
「シャトー・ラフィット・ロートシルト」の特徴
・ボルドーの北西部、メドック地区ポイヤック村の北端にあるシャトー
・世界の情勢や害虫被害、オーナーチェンジが行われる激動の歴史を乗り越えてきた
・すべての樽を敷地内で100%製作するこだわり
・飲む者を魅了する世界最上級の味わい
・ラベルは100年間変わらず
・人気のセカンドワイン「カリュアド」は、熟成タイプでも早くから楽しめる