「ワイングラスなんてどれで飲んでも一緒だろう」と思ってしまいがちですよね。ところが、使用するワイングラスによってワインの味わいがかなり変わってくるのです。
ワインは飲む前に色の濃淡や粘度、透明度を含めて目で外観をチェックし、ワイングラスから広がる香りを楽しみ、最後にワインを口に含んで味わいます。この一つ一つのアクションの中で、ワインの持つポテンシャルを最大限に引き出してくれるのがワイングラスなのです。
ですから、ワインの豊かな味わいをより一層引き出すためには、ワインのタイプに合わせてワイングラスを選ぶと良いですよ。そこで今回は、ワイングラスの形を使い分けることでどのように味が違ってくるのかについてお伝えします。
ワイングラスを変えれば、
ワインの味が驚くほど変わる!
ワイングラスの形状
まずはグラスの形状ですが、ワイングラスはワインを最大限に引き立てるように形作られています。唇を付けるリムという部位はとても薄く作られていて、グラスの持つ印象でワインの味わいを邪魔しないようになっています。
香りを左右するのはボウルと呼ばれる部位で、その高さと広さ、カーブの形状によって、ワインの香りがふわっと広がります。さらに、ステムと言われている部分は、その長さによって手の温度が伝わりづらくしているのですね。このように、それぞれの部位はワインの種類によって最適な形に考えられているのです。
ワイングラスの形と名称はこちらを参考にして下さい。
~ワイングラスを変えるともっとワインが美味しくなる!~
ワイングラスと味覚
味覚についてですが、ワインを口に含んだ時、最初に舌のどの部分に触れるかで味わいが変わります。舌の表面は大まかに、【甘味/Sweet】【塩味/Salty】【酸味/Sour】【苦味/Bitter】という4つの味覚に分かれています。
実は、ワイングラスは形によって、口の中でのワインの流れ方が変化するので、味わいが変わってくるのです。ですから、同じワインでもグラスを変えることで風味が全く異なるのですね。
ボルドー型ワイングラス
ボルドー型のワイングラスは、ボウルのカーブからリムまでのカーブが滑らかなのでワインが広がって入り、舌の酸味を感じる部分から口の中に流れ込みます。このタイプのグラスは酸味を強く感じさせます。
そこで、酸味が強いワインをこのグラスに注いでしまうと酸味をより引き立ててしまうので、甘みが強いものを飲む際に使用すると良いでしょう。
また、渋みの強い赤ワインにも最適で、緩やかなすぼまりのボウルによって、複雑で芳醇な香りを解きほぐしてくれます。ワインが舌上で横に広がるため、厚みのあるボディを感じつつ、強い渋みをやわらげてくれます。
対応ワイン
色:赤
ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フランなど
ブルゴーニュ型ワイングラス
ブルゴーニュタイプのグラスは、香りを逃がさないようにリムの径が小さくなっているので、舌先の甘みを感じる部分からワインが縦に長く口の中に流れていきます。そのため、このタイプのグラスは甘みを強く感じることができます。舌の先端から口の奥へスーッと流れていく印象です。
ピノ・ノワールのように酸味の強いワインをこの形のグラスに注ぐことで、甘みをより引き出してくれます。ボルドータイプに比べ、空気に触れるボウルの面積が大きいので、香りが引き立ちます。
対応ワイン
色:赤
ブドウ品種:ピノ・ノワール、ガメイ
キャンティ型ワイングラス
ちょっと酸味が強いなと感じたら、キャンティ型のワイングラスを使用しましょう。
ブルゴーニュタイプと同じようにワインが縦に長く口の中に流れていくため、甘みを引き出したいワインに使用すると果実味と酸味のバランスを整えてくれます。テイスティングや試飲会などで使用されている代表的なグラスです。
対応ワイン
色:白
ブドウ品種:リースリング、ソーヴィ二ヨン・ブラン
モンラッシュ型ワイングラス
白ワインで、しっかりとした果実味があるのだけど酸味が少し物足りないと感じた場合に最適です。
ボルドータイプと同じようにワインが横に広がり舌へ流れていくため、酸味が穏やかなワインを飲む際に使用すると、酸味を引き立ててスッキリとした酸味と果実味のバランスが楽しめます。他のグラスに比べてボウルの高さが低いため、香りの広がりをより楽しむことができますよ。
対応ワイン
色:白
ブドウ品種:シャルドネ
フルート型ワイングラス
フルート型ワイングラスは、舌の先から一気に口の奥へ流れていきます。スパークリングワインには酸味の強いワインが多いため、少しでも酸味を抑え甘みを感じさせるために細長い形状になっています。
細長い形状になっているので空気に触れる面積が少なくなっており、香りや味、泡を長く楽しむことが出来るようになっているのです。
対応ワイン
色:白(スパークリングワイン)
ぶどう品種:ピノ・ノワール、シャルドネ
いかがでしたか。今回はワイングラスの形によって、ワインの香りや味わいを最大限に引き出せることをお伝えしました。
同じ銘柄のワインを違う形状のワイングラスに入れて飲み比べてみると、味や香り、濃縮された果実味や酸味の感じ方が違うのが分かります。一度試してみると面白いですよ。今まで飲んでいた銘柄もワイングラスを変えるだけで驚くほど美味しさが増すはずです。この機会にぜひワイングラス選びをしてみましょう。
「ちょっと酸味が強いな」と思った時には、ブルゴーニュ型のワイングラスのようにボウルの曲線からリムへ角度が内側に大きく付いているワイングラスに変えてみると、縦に長く口の中に流れていくため、酸味をまろやかに感じることができます。最初はそれだけ覚えておくだけでも良いでしょう。
さあワインがあなたを待っていますよ!今日はどのワインで乾杯しましょうか。
まとめ
ワイングラスの選び方
・ボルドー型ワイングラスは、甘み・渋みの強い赤ワインに
・ブルゴーニュ型ワイングラスでは、酸味の強い赤ワインを
・キャンティ型ワイングラスは、酸味の強い白ワインにピッタリ
・モンラッシュ型ワイングラスは、酸味が物足りない白ワインに
・フルート型ワイングラスは、スパークリングワインに最適!