こんなケースなら遺言書が必要!遺産相続で困る9事例

こんなケースなら遺言書が必要!遺産相続で困る9事例「遺言書は相続税がかかるような家が作成するものだと思う」、「我が家は家族間でトラブルになるはずがないから遺言書は不要」、「書くことで波風立てるのでは」など、思い込みで遺言書は不要と思っている人がまだまだいます。しかし、遺言書がなかったばかりに相続人が大変な思いをするケースがあるのです。

今回は、遺言書を作成しておくとよいケースを9つ取り上げていきます。遺産分割と遺産分割を行うための手続きで大変な思いをするケースばかりです。

自分に関係があるかないかは分かったうえで判断すべきですので、そのためには遺言書がなくて大丈夫なのかを知っておくことが大切です。それがわかることでどう対策するのか考えるきっかけにもなります。

 

こんなケースなら遺言書が必要!遺産相続で困る9事例

 

遺言書があればこんなに大変な思いをしなくて済んだのにと、専門家の立場として思うことがあります。相続の専門家なら誰しも直面している現実です。

もちろん、遺言書があったがためにもめてしまうこともあります。何でもかんでも遺言書が必要だと私は思っていません。専門家の先生方の中には遺言書必要説の方もいらっしゃいますが、遺言書でもめることだってあるのです。

その方の環境や状況によっては遺言書を書かなくても大丈夫なケースもありますが、書いておいた方が良いケースもあるのです。

まずは遺言書があると望ましいケースについてみていきましょう。

 

遺言書があると望ましいケース

遺言書がなくて大変な思いをするケースは、相続人での話し合いがスムーズにできないときや、遺産分割協議(遺産の分け方の話合い)ができない場合、そして遺言書で財産の行方を決めておかなければならない場合です。

9事例をみていきましょう。

1.法定相続分と異なる分配をしたい、財産分与をしたい人がいる

介護等で面倒を見てもらった・もらう家族がいるのなら、その人に少し多めに残してあげるなどの配慮がなければ、一生懸命介護をした人の気持ちが報われません。頭では分かっていても感情が治まらない、そんな不平等を主張する相続でもめてしまうケースは多くあります。

妻に多めの割合を残したい、孫にも財産をあげたい、長男の嫁にお世話になっているから財産を渡したいなど、割合変更や相続人以外の人に財産を渡したい場合には遺言書で指定が必要です。

 

2.相続人数や財産の種類・数が多い

自宅、賃貸しているマンション、農地や山林、現金、有価証券など、いろいろな財産がある場合、賃貸マンションがほしいとか、農地や山林はいらないなど、財産の分け方がムーズに決まらないだけではなく、話合いがこじれて不仲になることがあります。

相続人は、自分の欲しい財産が欲しいもの。主張がまとまらず手続きが大変になることが多くあります。それならば、誰に何をと遺言書で指定しておくことも必要です。

 

3.子どもがいない 

夫が死亡したとき、夫婦間に子供がおらず夫の父母もいない場合、相続人は妻と夫の兄弟姉妹になります。ところが、その兄弟姉妹の何人かが既に死亡している場合、兄弟姉妹の子供(死亡した本人から見たら甥・姪)が相続人(代襲相続人という)になります。妻以外の相続人が多くなると遺産分割がスムーズに進みません。

「全財産を妻へ相続させる」というような内容の遺言書があれば、全財産を妻に相続させることができます。これは、夫の兄弟姉妹に「遺留分(最低限相続できる割合)」がないためです。遺留分については、「遺留分で相続争い!家族のために考えておきたい遺産の行方」を参考にしてください。

 

 

4.再婚をしていて先妻と後妻に子どもがいる

死亡した本人は先妻の子も後妻の子もどちらも自分の子供のためどちらも大切でしょうが、後妻にしてみれば自分の子供のほうがかわいいのが親心。先妻の子供と後妻とその子供で円満な話し合いができるのならまだしも、険悪なムードになってしまうこともあります。スムーズにいかないことが予測できるなら、遺言書で割合を決めておくことも必要です。

 

5.相続人の中に病弱・障がいのある家族がいる

病弱な子供や障がいがある子供をもつ親としては、その子の今後が心配なもの。元気な長男に障がいのある二男の今後を言葉で託したとしても、もしかしたら長男が面倒を見てくれない可能性だってあります。長男に託すよりも、きちんと障がいのある子に財産が渡るような遺言書を作成しておくことが必要です。

 

6.相続人の中に認知症の家族がいる

認知症の家族も相続人である以上、遺産分割協議を経て財産の分割を確定させ、遺産分割協議書(財産の分け方を書き留めたもの)に署名や実印が必要です。しかし、認知症になってしまうとそれができなくなります。その場合、その認知症の人の代理人(専門家)を家庭裁判所で選んでもらわなければならないのです。

家庭裁判所に代理人を選んでもらうといっても簡単なことではありませんので、時間もかかります。まして第三者を含めて遺産分割協議をするとなると、思ったように分けられないこともあります。スムーズに手続きができないのは目に見えていますので遺言書で財産の割合を指定するなどが必要です。

 

7.相続人の中に行方不明者がいる

行方不明者も相続人なら、遺産分割協議書に署名や実印が必要です。そのため、行方不明者を探し出したり、代理人を家庭裁判所に選んでもらったり、場合によっては失踪宣告(死亡したとみなすもの)の手続きをとるなどをしなければなりません。

手続きがスムーズに進まないことが目に見えていますので、行方不明を除いた遺言書を作成しておくことが必要です。

 

8.事業承継させたい人がいる

遺産分割によって財産が分散されてしまうと事業に支障をきたすため、事業承継させたい人に財産を相続させる遺言書が必要です。ただし、事業承継は会社の財産等の問題もありますので、事業承継対策として考えることが必要です。

 

9.相続人がいない

誰も相続人がいない場合は、最終的に国に財産が帰属されてしまいます。それを望まないなら、お世話になった人や慈善団体などに寄付するなどの遺言書を作成することが必要です。
以上の場合は、遺言書作成を真剣に考えるべきです。
 

まとめ

分け方で争うことが予測できるのであれば、それを防ぐために、誰に何の財産をどのくらいなどの指定をしておくことも必要です。また、遺産分割自体が大変な場合には、大変な手続きしないで済むようにしておかなければなりません。
遺言書は簡単に作成できるものではありませんが、必要だと思えば、遺言書作成に向けて一歩を踏み出すことができます。それにはまず、自分には遺言書があったほうがよいか、なくても大丈夫なのかを知っておきましょう。


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