仕事を効率化するためには、脳の活動に合わせて生活し、睡眠を意識的にコントロールする必要があります。
もしタイミングよく睡眠をとらないと、脳の活動は次第に鈍くなり、非効率なってしまいますし、寝る時間を誤ったり寝すぎたりしても脳の覚醒を妨げてしまって、仕事効率化とはかけ離れてしまうのです。
そうならないためにも、まずは脳と睡眠の関係を知り、快適な睡眠をとるためのルーティンを行う必要がありますので、今回は、睡眠をコントロールして仕事を効率化する方法についてお伝えします。
睡眠をコントロールして仕事を効率化する方法
§ 仕事効率化のための睡眠の必要性とは
① 脳の活動時間には限界がある
「体内時計」という言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、私たちには生体リズムが備わっており、とりわけ1日の周期で変動する生命維持システムを、時間生物学では「サーカディアン・リズム」と言います。
このサーカディアン・リズムは、もちろん脳にも当てはまり、朝6時頃から活発になり始め、夜9時を過ぎたあたりから活動が低下する性質を持っています。
つまり、私たちの活動には限界があり、起床後15時間を過ぎたあたりから眠くなるようにできているということですね。
もし、休憩も取らずにそのまま仕事を続け、疲労が溜まっているにも関わらず活動すると、最悪の場合、過労死してしまうこともあるでしょう。
仕事を効率化するためにも、脳の活動が低下する時間帯に睡眠をとり、上昇するタイミングで仕事に取り組むことが大切です。
② 眠っている間に脳のダメージを修復する
そもそも、なぜ私たちは眠くなるのでしょうか。
それは、バーンアウト(オーバーヒート)しそうになった脳を休ませるためなのです。
脳は色々なパーツが組み合わさってできていますが、実は、眠らない脳と睡眠が必要な脳があります。
仮に、首に近い部分を下、頭のてっぺんを上と表現すると、脳の真ん中辺りから下にある「視床下部」、「視床」、「中脳」、「橋」、「延髄」などは眠らない脳で、脳の大半を占めている上の方にある「大脳新皮質」は睡眠が必要な脳なのです。
この大脳新皮質は、思考したり記憶したり想像したりする高度な精神活動を担っているため、起きている時間が長くなるにしたがって疲労が溜まって活動が鈍くなってしまいます。
しかし、睡眠をとることにより、成長ホルモンが脳の成長を促してダメージを修復するとともに、不安定になりかけていた感情もリセットされ、翌朝から仕事が効率化されることでしょう。
しかも、夜10時から夜中2時に最も成長ホルモンが活発になり、脳だけでなく、内臓機能の回復やけが、しわの修復まで行って若々しい体を保つ力があるので、しっかりと睡眠時間を確保したいですよね。
③ 溜まった情報を整理して仕事効率化につなげる
活動中、私たちの脳には未整理の情報がどんどん溜まっていき、限度を超えるとテンパった状態となってしまいます。
あなたもきっと、色々なことを考え過ぎて混乱したり、言いたいことが思うように表現できない経験をしたことがあるでしょう。
一度にたくさんの情報を得ようとすると、脳は情報処理が追い付かなくなって混乱してしまいますが、睡眠をとることにより、どのような経験をしてきたのか、整理されるようになるのです。
起きている間は、色々な経験をしてたくさんの情報を得、その後しっかりと睡眠をとると必要な情報がスッキリ整理されて仕事が効率化できるでしょう。
§ 10分間の昼寝が良い理由とは
④ テンパらないために10分程度昼寝をする
活動し続けると時間の経過とともに脳は疲れ、思考力や判断力が鈍ってしまいますが、仕事を効率化するためには、時間を区切って思考を切り替えることが必要です。
思考を上手く切り替えるための最もシンプルな方法は、疲れたら眠ること。しかし、何時間も昼寝をしていては仕事になりませんので、10~15分眠ると仕事の効率化に有効でしょう
思考の切り替えがうまくできないと、脳の血圧が上がってテンパってしまいますが、10分程度の睡眠をとることにより、脳の血圧を下げ、冷静さを取り戻すことができるのです。
ただし、30分以上の昼寝をしてしまうと、メラトニンが分泌されて逆に頭が働かなくなりますし、10分程度の睡眠でも午後3時以降にとってしまうと夜の睡眠の妨げになってしまいますので、昼寝の時間やタイミングには注意しましょう。
§ 快適な睡眠をとり、仕事効率化につなげるテクニックとは
⑤ 眠っている間の管理をすると快眠できる
私たち人間は、「A 疲れた時」、「B 暗くなった時」、「C 体温が低くなった時」に眠くなる習性があります。
寝室で注目すべきはBとC。寝室にたくさんの光が入るような明るい部屋や温度調節ができない部屋だと、上手に睡眠をとることが難しいということですね。
床に就くときは、本の文字が見えないくらい真っ暗にすることが理想なので、近くに窓がある場合は分厚い遮光カーテンで光を遮ったり、それでも光が漏れてくる場合は、窓に銀紙を貼るなどして光対策をしましょう。
また、室温が28度以上であったり、13度以下であったりすると快眠できません。
夏は27度、冬は15度が理想と言われていますので、冷暖房器具などで室温を15~27度に保つと快眠できますよ。
⑥ 夜寝る前の習慣を大切にすると快眠できる
快眠できるかどうかは、寝る直前の時間の過ごし方だけで決まるのではなく、体内時計などの生活のリズム全体を考えなければなりません。
食事してすぐに眠ると太るだけでなく、体にとっても良くないということは誰でも知っていることですが、その他にもやってはいけないこととやると快眠できることがあります。
まず食事について、前述のとおり私たちは体温が上昇すると活動的になり、低くなると眠くなりますが、食事を摂ると消化のために体温が一時的に上がります。
つまり、「食事=軽い運動」と同じで食事後は体が起きてしまうため、睡眠の直前に食事すると寝つきが悪くなってしまうということですね。
そうならないためにも、床に就く2~3時間前までに食事を済ませておくことが理想的です。
次に注目すべきは入浴で、シャワーよりも40度くらいの湯船に10~20分浸かった方が快眠できます。
湯船に浸かると体温が上昇しますが、お風呂から出ると温まった体を冷まそうとして体温が下がり始めるため、床に就く1~2時間前にお風呂に入ると快眠できるでしょう。
続いて注意しないといけないことは、寝る直前にテレビやパソコン、携帯電話を見てはいけないということです。
それら電子機器は、交感神経を刺激して目を覚ましてしまうため、寝る前に見ることは避け、代わりに瞑想・マインドフルネスなどで10分間の腹式呼吸や軽いストレッチをすると、副交感神経にスイッチされて快眠できるようになります。
⑦ 起床後、順番に脳を目覚めさせると仕事が効率化できる
一日の仕事を効率化するためには、「朝日を浴びる→食後に軽く体を動かす→簡単な仕事で頭の回転数を上げる→重要な仕事をこなす」という順番が理想です。
朝一番に日光浴をすると、睡眠ホルモンであるメラトニンが徐々に消失し、さらに交感神経にスイッチされて体温が上昇し、体が活動的になります。
私たちの脳は、単純な機能を司る部位から複雑な機能を司る部位へと順番に覚醒していく性質があるため、朝日を浴びた後は軽い運動や簡単な作業で脳を刺激することにより、脳のウォームアップになって仕事の効率化につながるのです。
このように、脳のウォームアップの時間を計算しておくと、脳が最も覚醒しているときに重要な仕事や難しい仕事に取り組むことができ、順調に仕事をこなすことができるでしょう。
■まとめ
いかがでしたか。
睡眠をコントロールして仕事を効率化するためには、意識して良質な睡眠をとるよう心がけることが大切でしたよね
例えば、寝室は本の文字が見えないくらい真っ暗にすることや、温度調節も快眠のために必要でした。
そして最も注意すべきは、夜寝る前の習慣。夜寝る前の時間を、何も考えずに無意識でダラダラと過ごしてしまうと、いざ寝ようとした時になかなか寝付けなかったり、夜中に途中で起きてしまったりして寝た気がしないということになってしまいます。
私たち人間には生活リズムがあるため、脳の覚醒や活動休止の時間に合わせて生活し、睡眠時間や就寝前・就寝後の習慣を守って仕事の効率化につなげたいですよね。
おさらい
睡眠をコントロールして仕事を効率化する方法
§ 仕事効率化のための睡眠の必要性とは
① 脳の活動時間には限界がある
② 眠っている間に脳のダメージを修復する
③ 溜まった情報を整理して仕事効率化につなげる§ 10分間の昼寝が良い理由とは
④ テンパらないために10分程度昼寝をする§ 快適な睡眠をとり、仕事効率化につなげるテクニックとは
⑤ 眠っている間の管理をすると快眠できる
⑥ 夜寝る前の習慣を大切にすると快眠できる
⑦ 起床後、順番に脳を目覚めさせると仕事が効率化できる
◆参考文献
・『大人の脳科学常識 頭が冴えわたる脳の鍛え方』 2016.1 トキオ・ナレッジ (株)宝島社
・『脳の強化書』 2010.3 加藤俊徳 (株)あさ出版
・『“睡眠の満足度”があなたの年収を変える!眠りの技法』 2014.7 山本恵一 サンクチュアリ出版
・『人生の主導権を取り戻す「早起き」の技術』 2015.8 古川武士 大和書房