感情の起伏を和らげる!脳の仕組みと心のヒミツ

感情の起伏を和らげる!脳の仕組みと心のヒミツ
ある時は「うれしい、幸せ、楽しい」と感じたり、またある時は「悲しい、不安、怖い」と感じたり、さらにある時は「ムカつく、嫉妬、憎い」と感じたりと、私たちには感情の起伏が絶えず訪れます。

そしてそれらの感情の起伏は、実は、私たちの脳が深くかかわっていて、脳の働きを理解することにより、和らげることができるのです。

感情の起伏を和らげ、自在にコントロールできるようになれば、豊かな人生を歩むことができますので、今回は、脳と感情の起伏との関係を理解し、自分自身と対話して心が豊かになる方法についてお伝えします。

 

感情の起伏を和らげる!脳の仕組みと心のヒミツ

 

脳と感情の起伏との関係性とは?おさえておきたい3つの基礎知識

1 心は心臓ではなく脳にある

感情の起伏は、人間以外の動物には存在しないと考えられており、嬉しさや楽しさ、悲しさなど、これほど複雑な感情を持っている種は、人間のみであります。

では、心はどこにあって、それら感情の起伏はいったいどこから来るのでしょうか。

少し歴史を振り返ってみると、古代バビロニアでは心は肝臓にあるとされ、中世ヨーロッパでは心臓にあると信じられていました。期待や不安を抱えた時に心臓がドキドキするせいで、そう思われていたのかもしれませんね。

心の疑問はすべて解明されたわけではありませんが、現代では心は脳にあると考えられており、計測機器を使用することで考えていることと脳の部位が連動していることを確認することができるようになりました。

ということは、感情の起伏は私たちの脳の状態や活動によって訪れ、その時の脳の様子を伺うことができれば、感情の起伏をうまくコントロールできるということですよね。

 

2 脳内の2つの場所により喜怒哀楽が生まれる

脳内の2つの場所により喜怒哀楽が生まれる
同じ出来事が起きても、嬉しいと感じる人もいれば特に何も感じない人もいることでしょう。こうした喜怒哀楽といった感情の起伏は、いったいどのようにして生まれるのでしょうか。

脳内で感情と関係がある部分は2つあり、一つ目は性欲や食欲など人間の本能的な部分を司る「視床下部」(ししょうかぶ)で、脳の真ん中あたりにあります。

感情の起伏によって呼吸や心拍数が乱れるといった自律神経変化も視床下部が深くかかわっているのですよ。

もう一つは、「扁桃核」(へんとうかく。扁桃体ともいう。)で、こちらは脳の真ん中より下あたりにあり、快楽や不快、恐怖などの感情を作り出すところです。

扁桃核は、記憶を保持している視床下部などと密接な関係があり、その状況にあった感情を生み出すところなのですよ。

つまり、外部からの情報と自分が持っている記憶を視床下部が整理・分類し、偏桃核がそれらを感情という形でアウトプットするため、私たちに感情の起伏が訪れるということなのですね。

 

3 脳には3つのタイプが常に存在している

脳には3つのタイプが常に存在している
「爬虫類脳」、「哺乳類脳」、「人間脳」の3つのタイプが、私たちたちの脳に備わっています。

例えると、爬虫類脳は、「人生1回きり、好きなことして楽しもうぜ」と欲望むき出しのハードボイルドな脳で、哺乳類脳は、「一人じゃ寂しい、みんなに認められたい、仲良くしたい」という少し女性っぽい脳、そして人間脳は、「将来のことを考えると今はこれをやるべきだな、こっちの方が成長できるな」と少しエリートっぽい脳です。

これら3つのタイプの脳は、どれが良くてどれが悪いということはなく、すべて認めて共存することが必要ですが、この3つの脳が喧嘩して摩擦が起こることにより、快・不快の感情の起伏が訪れてしまいます。

今の自分の状態を知りたければ、「爬虫類脳が暴れているからエネルギッシュなのかな」や、「哺乳類脳の主張が強いから寂しさを感じているのかな」、「人間脳全開だからちょっとつまらなさを感じているのかな」などと、3つのタイプの脳を意識すると、感情の起伏を和らげることができますよ。

 

感情の起伏を和らげるための2つの方法

Ⅰ 自分の横に立ってメタ認知する

自分の思考や行動を客観的に把握して認識するスキルのことを「メタ認知」といいます。

メタ認知を使って自分を客観的に見る行為は、私たち人間が進化の過程で最後に手に入れた最も高度な働きで、脳の動作を安定させることができるのです。

「私は今、とても悲しんでいる」、「すごくハッピーだ」、「上手くいき過ぎている。何か見落としはないだろうか」などと、自分で自分を観察する習慣を身に付けられれば、少し冷静になって、感情の起伏を和らげることができるでしょう。

 

Ⅱ 私たちはみんな多重人格だと認める

私たちはみんな多重人格だと認める
外部からの要因や体内時計(時間生物学)などによって、その時々で私たちの感情は変化し、様々な自分が顔を出します。

実は、私たちの内側には複数の自分というものが存在していて、私たちは1人ではないのですよ。

「成功したい、痩せたい、運動したい」と言う自分がいる一方で、「面倒くさい、もっと食べたい、動きたくない」などと逆のことを言う自分もいて、みんな多重人格なのです。

その度が過ぎると、精神病だとかクレイジーとか言われてしまいますが、人格が1つしかないという人は、ロボット以外あり得ないんですよね。

多重人格を認めずに抑え込んでしまうと暴動化して感情の起伏が激しくなってしまうので、それを認めて共存することにより、自分の様々な感情と付き合うことができ、心が豊かになるでしょう。

 

 

感情の起伏を和らげて心豊かになる5つの習慣

① その時々の感情を名前で呼ぶ

自分の横に立って自分を観察するというメタ認知は、そう簡単に身に付けられることはできませんが、『感情の起伏をコントロールして充実した毎日を過ごす方法』でもお伝えしたように、その時々の感情に名前を付けて呼ぶと、メタ認知をすることができますよ。

キャラクターの名前でも、何かのセリフでも、自分の名前に「君、さん、ちゃん」を付けて区別しても何でも構いませんが、今の自分の感情をその名前でボソボソっと呼ぶと、冷静さを取り戻すことができるでしょう。

 

② ウォーキングなどの軽い運動をする

ウォーキングなどの軽い運動をする
手足を動かす機能は脳の表面中央あたりに分布していて、手足を動かすことにより、この部分に血液が送り込まれて脳全体の血流が良くなり、脳が活性化されます。

運動不足が続くと脳の働きは鈍化して、やる気がだんだんとなくなっていってネガティブな感情が顔を出してしまいますので、そうならないためにも、「ちょっと調子が悪いな、頭が働かないな」などと感じたら、深呼吸をしたり外を散歩したりして脳に血液を送りましょう。

 

③ しばし鏡に映った自分を見つめる

しばし鏡に映った自分を見つめる
鏡に映った自分を見ると、少し心を落ち着かせることができますし、もし一日を始めるにあたってふさわしくない表情をしているのであれば、軽くニコッとほほ笑んでみると心が和んで良いですよ。

顔には体調が表れ、表情はその時々の心を映し出しますので、その日の自分を確認するためにも、意識的に鏡を見る習慣を身に付けましょう。

 

④ 朝、窓を開けて外の空気を胸いっぱいに吸い込む

朝、窓を開けて外の空気を胸いっぱいに吸い込む
私たちはもともと、自然の中でその一部として生きてきましたが、利便性と引き換えに自然を感じる機会を手放してしまい、心も身体もしなやかさを失ってしまっています。

心と身体のしなやかさを取り戻すためにも、朝起きたら窓を開けて深呼吸をし、その季節をまるごと感じながら胸いっぱいに空気を吸い込めば、私たちの心を強くしてくれるでしょう。

また、外の循環された空気を深呼吸すれば、血液の巡りが良くなり、脳にも酸素が行き渡って、思考も感情もポジティブになりますよ。

 

⑤ 自分で自分をホメる癖を身に付ける

哺乳類脳が私たちにはあるため、人から認められたいという欲求がありますが、認められないとストレスに感じてしまい、マイナス思考に陥って脳の働きが鈍化してしまいます。

そこで、「すごい!よくできました!さすが!」などと、自分で自分をホメると、ワクワクとした嬉しい感情が表れて脳は成長し、心が豊かになるでしょう。

 

■編集後記

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

学生の時、感情の起伏が激しくて、ハイテンションになったと思ったら急に落ち込んだり、突然何にも関心が持てなくなって「まぁ、どうでもいいや」と思ったりと、とにかく色々な感情の起伏が表れていたのですが、もうそれがイヤで、その都度、自分で自分の感情を押し殺していましたね。

何とかして変わりたいと思っていた私は、その時はよく神社に行って神頼みしたり、スピリチュアル系の本を読んだりしていましたよ。そのようなことを行った後は一時的に心がスッキリするのですが、少し時間が経つとまたもとの自分に戻ってしまっているんですよね。

社会人になったある日、トークがものすごく面白い知り合いの社長さんにその悩みを打ち明けると、

「色々な感情も全部自分の体の一部なのだから、否定していてはひどくなる一方だ。自分が良しとしない感情が表れたとしても、否定することなく、サーファーみたいに波に乗り続けるといいよ。その波が過ぎ去るまでね。あと、それらの感情に名前を付けて呼ぶこと。客観的に自分を見ることができて少し冷静になれるから。」

と言われ、私は「感情に名前を付けて呼ぶ」ことと、「その時々の感情を否定せずに認める」という2つのことを実践し始めたのです。

今では、たとえテンションが上がったとしても、昔みたいにそこから急にネガティブになるということはなくなりました。もちろん、良い時悪い時はありますが、落差がそこまで激しくなくなったと感じています。

もし、「喜怒哀楽が激しくてイヤだなぁ」と思っていましたら、今回お伝えした方法をぜひ試してみてくださいね。

 

おさらい

感情の起伏を和らげる!脳の仕組みと心のヒミツ

・脳と感情の起伏との関係性とは?おさえておきたい3つの基礎知識
1 心は心臓ではなく脳にある
2 脳内の2つの場所により喜怒哀楽が生まれる
3 脳には3つのタイプが常に存在している

・感情の起伏を和らげるための2つの方法
Ⅰ 自分の横に立ってメタ認知する
Ⅱ 私たちはみんな多重人格だと認める

・感情の起伏を和らげて心豊かになる5つの習慣
① その時々の感情を名前で呼ぶ
② ウォーキングなどの軽い運動をする
③ しばし鏡に映った自分を見つめる
④ 朝、窓を開けて外の空気を胸いっぱいに吸い込む
⑤ 自分で自分をホメる癖を身に付ける

◆参考文献
・『大人の脳科学常識 頭が冴えわたる脳の鍛え方』 2016.1 トキオ・ナレッジ (株)宝島社
・『成功脳と失敗脳』 2015.12 茂木健一郎 総合法令出版(株)
・『考える前に動く習慣』 2016.3 桝野俊明 (株)三笠書房
・『結果を出せる人になる!「すぐやる脳」のつくり方』 2015.5 茂木健一郎 (株)学研パブリッシング


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